トラック運転手は、虫歯や歯周病などが多い職業といわれています。また、症状が悪化して歯が抜けても放置して、歯がない人も少なくありません。
これからトラック運転手になりたい人や、現在トラック運転手をしている人の中には、「自分も歯がなくなってしまうのでは?」と不安に思っている人もいるでしょう。
この記事では、歯がなくなってしまう理由や対策を解説しています。また、放置した場合に起こるかもしれない悪影響も紹介しています。
ぜひ最後までお読みいただき、トラブルのない健康な歯を保つ参考にしてください。
歯がないトラック運転手が多い理由
トラック運転手の職業病ともいえるくらい多い口腔トラブル。なぜ歯がない人が多いのかは、力仕事でトラックから離れられないという職業特有の事情が関係しています。
ここからは、トラック運転手が歯にダメージを抱えてしまいがちな理由について解説していきます。
歯を食いしばる
トラック運転手は重い荷物を持ち上げる仕事なので、力を入れるために歯を食いしばりがちです。
あまり強く歯を食いしばると、歯が欠けたり、割れたりするケースもあります。特に過去に虫歯で神経を抜いてある歯の場合、もろいため抜歯にいたることがあります。
また、歯に力を入れる生活が長いと、歯を固定している骨に影響がでてきます。歯がグラグラ動いたり、最悪の場合は歯が抜けてしまう原因になります。特に歯周病菌の働きが活発な人は、炎症をおこしているところに力が加わるため、悪い影響がでやすい傾向があります。
歯磨きしにくい
中・長距離トラック運転手は基本的にトラックに寝泊りし、家に帰るのは月に数回という生活を送っています。大型トラックが停車できる場所は限られているため、食事はサービスエリア(SA)かコンビニで購入し車内で食べる場合がほとんどです。
SAで食事する場合は洗面台も多く歯磨きできますが、コンビニや飲食店の洗面台で歯磨きはできません。車内で歯磨きすると口をゆすいだ水をどうするのかという問題が発生してしまいます。そのため、毎食後きちんと歯磨きするのが難しくなりがちです。
歯医者に通いにくい
トラック運転手が仕事を休む場合、替わりにトラックを運転するドライバーを会社が手配する必要があります。人員に余裕がない会社だと、休みがとりづらい雰囲気になりがちです。
特に歯医者は治療のため何度も通う必要があることも多く、休めないからと治療を諦めてしまう人も多いようです。
また、体力的にきつい仕事なので、休日は歯医者に通うよりも体を休ませることを優先しないともたないという事情もあります。
歯が抜けないようにするための対策は?
虫歯や歯周病を防ぐには、毎食後きちんと歯磨きして定期的に歯医者に通うことが大切といわれています。しかしトラック運転手のように、歯磨きや歯医者通いが難しい場合にはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、トラック運転手でも無理なくできる対策を紹介します。
口腔ケア用ウェットティッシュ
嚥下障害や、うがいができない人のお口を清潔に保つための商品で、「口腔ケア用のウエットティッシュ」というものがいろいろな会社から発売されています。味や種類が豊富なので、お好みに合うタイプを選ぶと使いやすいでしょう。
使い方は簡単で、1枚指に巻き付け、歯や歯茎を優しくこすって食べかすや歯垢をふき取るように使います。
近くに歯磨きできる場所がない場合にも口の中を爽やかにできるため、トラックのキャビンに常備しておくのがおすすめです。
洗口液(マウスウォッシュ)
洗口液は少量を口に含んでくちゅくちゅし、吐き出すだけで口の中を浄化できます。ブラッシングや水ですすぐ必要がないため、洗面台を長時間占領せずに素早くお口のケアができます。
また、使う液体が少量なので、ティッシュに染み込ませればキャビンの中でも使用できるでしょう。
似たような商品で「液体歯磨き」「デンタルリンス」がありますが、どちらも歯ブラシでのブラッシングを前提とした商品です。ブラッシングできない場合は、「洗口液」「マウスウォッシュ」と記載されている商品を選びましょう。
キシリトール配合のガム
天然の甘味料「キシリトール」は、虫歯の原因になるミュータンス菌の活動を弱め、歯垢がはがれやすく、つきにくくなることで知られています。先に紹介した「口腔ケア用ウエットティッシュ」「洗口液」や、普通の歯磨きにプラスして、キシリトール入りのガムを噛むことを習慣にするとよいでしょう。
ただし、キシリトールガムは、たくさん食べるとお腹が緩くなる可能性があるため食べ過ぎないように注意が必要です。
休日に無理なく通える歯医者を見つける
歯科医院の診療時間は、平日の日中と、土曜日の午前中という場合がほとんどです。土日休みでも体力的につらくて土曜の午前中に起きられなかったり、夜勤で生活の時間が半日ずれていたりして、治療が必要でも通えないというトラック運転手も多いでしょう。
しかし近年では生活の多様化が進み、日曜日や夜も開いている歯科医院が増えています。近所に休日に通える歯科医院がないか、チェックしてみるとよいでしょう。
特にショッピングモールなどの大型商業施設に入店している歯科医院は、施設の営業時間に合わせて日曜日や夜も診療していることが多いです。ついでに買い物もできて便利ですし、近くのショッピングモールに歯科医院が入店していないか確認してみましょう。
少ない水で歯を磨く方法
「口腔ケア用ウエットティッシュ」や「洗口液」は抵抗感があって、トラックの中でも歯ブラシを使って歯を磨きたいという人もいるでしょう。そのようなトラック運転手に向け、少ない水で歯を磨く方法を紹介します。
- 液体歯磨きで口をゆすぎ吐き出す
- コップに少量の水を準備する
- 歯ブラシを水に浸けて濡らす
- 歯を磨く ※途中で歯ブラシが汚れた場合、ティッシュペーパーやウェットティッシュでふき取る
- コップの水を使で数回に分けて口をすすぐ
この方法だと水を多く使わないため、すすいだ水はティッシュに含ませて処分できます。
歯がなくても大丈夫?放置するとどうなるか
歯科医院に通うには、何となく億劫なものです。
「歯が抜けても、他の歯で噛むから平気」
「抜けた部分は前から見えないし、歯医者は嫌いだからこのままでもいいかな?」
などと、放置してしまう人も少なくありません。けれども、歯が抜けて放置していると、健康や生活にマイナスの影響が出るので治療することをおすすめします。
ここからは、歯が抜けた状態で放置していると、どのような悪影響の可能性があるのか手短に紹介していきます。
歯の機能へ悪影響がでる可能性
歯が抜けたままにしていると、残った歯やあごに以下のような影響が出る可能性があります。
- 抜けた歯と噛み合っていた歯が長くなる
- 両隣の歯が斜めに傾いてしまう
- あごの関節に痛みが出る
健康面に悪影響がでる可能性
歯が抜けると、健康面にも以下のような悪影響をあたえるといわれています。
- よく噛めないため消化器の負担が増える
- 認知症のリスクが上がる
見た目が変わる
歯がないと、健康面だけではなく見た目にも以下のような影響があります。
- 奥歯が抜けると頬がこける
- 前歯がないと唇の周りが内側にしぼんだような印象になる
コミュニケーションに影響がでる場合もある
健康や見た目だけではなく、歯がないとコミュニケーションにも以下のような影響がでてしまうおそれがあります。
- 人前で口を開けたり笑ったりするのをためらう
- 隙間から息がもれて上手く発音できなくなる
- 聞き取りにくい話し方になってしまう
まとめ
トラック運転手の厳しい生活スタイルは、歯のトラブルを引き起こしやすくします。口腔トラブルの対策をして、健康な歯を保ちましょう。
歯のトラブルは、重大な健康問題につながることがあります。ぜひ通いやすい歯科医院を見つけて、定期検診や必要な治療を受けてください。
大切な歯を適切にケアして、より健康的で快適な運転生活を送りましょう。
コメント